貴田事務所 ブログ

2025年10月16日 木曜日

減免措置。

住宅用家屋証明書を悪用する不動産業者がいる。

居住用不動産を購入する際、登録免許税には大幅な減免措置がある。
たとえば中古住宅で建物の固定資産税評価額が1,000万円の場合、
通常は20万円の登録免許税がかかる。
ところが「住宅用家屋証明書」を取得すれば、わずか3万円で済む。
3,000万円の融資(住宅ローン)でも、通常12万円の登録免許税が3万円に減る。
つまり、「居住用である」という一点によって、
十数万円もの差が生じるわけだ。

この制度は、本来「実際に住む人の負担を軽くする」ためのものだ。
決して投資家や賃貸業者が節税のために利用する制度ではない。

ところが現実には、この制度を悪用する者が後を絶たない。
実際には「賃貸中」や「ベース(米軍)貸し」の物件であるにもかかわらず、
形式的に住民票だけを移し、「居住用」を装って減免を受けようとする。
これは明確な虚偽申告であり、詐欺罪(刑法246条)に該当する可能性が高い。
司法書士がそれを知りながら手続きを行えば、共犯とみなされてもおかしくない。

先日、横須賀の大手仲介会社の担当者から、まさにその依頼があった。
「買主が住所を移すから、住宅用家屋証明書を取ってほしい」と。
確認したところ、その物件は完全にベース貸し。
居住実態など一切ない。

私は即座に「それは詐欺行為になる」と指摘し、
買主に正しい説明を行うよう伝えた。
役員にも報告した。

ところが翌朝、店長から電話が入った。
「問題は解決しました」とのこと。
どういう意味かと尋ねると、
「別の司法書士に頼むことにしました」と言う。

つまり、私が犯罪行為を止めたから外し、
事情を伏せて別の司法書士に同じことをやらせるというわけだ。
まさに"犯意のバトンタッチ"である。

しかもこの買主、過去にも同様の手口で登録免許税を誤魔化していたという。
それを仲介会社も承知のうえで、黙認している。
私から見れば、もはや組織ぐるみの脱法行為だ。

私は担当を外されても痛くもかゆくもない。
だが、税務署などの関係機関には報告させてもらう。
数万円の報酬のために罪を犯すつもりはない。

何度も言うが、まともな仲介業者は本当に少ない。
本来、顧客が誤った行為をしようとしているなら、
正しく導くのが専門家の務めだ。
それを止めるどころか、一緒に加担するとはどういうことか。
もはや倫理も法も存在しない世界だ。

10万円や20万円のために詐欺行為をする。
もし私が仲介の立場なら、仲介手数料から10万円を引いてでも正しい方法で進める。
だが、そんな発想をする人間はこの業界では珍しいらしい。
利益が最優先、モラルは二の次。
そういう業界が「信頼」を語るなど、笑止千万だ。

たかが10万円のために法を破り、
結果として不動産業界全体の信用を失墜させている。
こんな業界を正すには、内部から声を上げるしかない。

今回の件は、横須賀でも最大規模を誇る不動産仲介会社の話だ。
この規模の企業でさえ、平然と違法行為を行い、倫理観を失っている。
横須賀最大規模の不動産仲介でもこの程度の犯罪集団。
不動産業界の民度が知れる。

結局のところ、問題は個人のモラルではなく、業界全体の体質だ。
「バレなければいい」「儲かればいい」という空気が根深く残っている。

この会社の営業がどれだけお客のことを考えていないか、
また改めて話させてもらう。

なお、先ほど――まだ毛の生えそろってもいないピヨピヨの新人営業から連絡があった。
「この取引、引き受けていただけませんか」と。

......当然、即答で断った。

まずは店長が頭を下げて謝罪するのが筋だろう。
それをせずに新人を矢面に立たせて電話させるとは、
どれだけ腐っているんだ、この会社は。

まぁ、ピヨピヨに怒るのは筋違いだ。
責任は上にある。
だが、きちんと対応はさせてもらう。

では。

このエントリをlivedoorクリップに登録
このエントリをBuzzurlにブックマーク
Deliciousにブックマーク

投稿者 貴田和仁

新着情報

一覧を見る

アクセス


大きな地図で見る
住所:
〒245-0015
横浜市泉区中田西一丁目1番20号
クロシェット・ボナール201
営業時間:
9:00~18:00
定休日:
土日祝日

横浜相続遺言駆け込み寺を見た!とご連絡ください

お問い合わせ 詳しくはこちら