貴田事務所 ブログ

2026年1月23日 金曜日

勘違いしないでほしい。

最近、ブログを見て相談してくる人が増えた。
ありがたい話ではあるが、ひとつだけ誤解してほしくないことがある。

「先生は嘘をつかない人って感じがする」
ってよく言われる。

確かに嘘はつかない。
ただし、
それは人格の問題ではない。
もっと単純な理由だ。

嘘をつくのが、死ぬほどめんどくさい。

嘘を一つつくと、それを整合性も含めて覚えておかなければならない。
次に電話がかかってきたとき、「あれ、この人には何を言ったんだっけ?」という確認作業が発生する。
これは、極めて非効率だ。

だから嘘をつかない。
誠実だからではない。
合理的だからである。
そもそも、名前を言われてもすぐには思い出せないような性分なのだから。

つまり、1年前に言ったことも、今日言うことも、10年後に言うことも、基本的には変わらない。
人の感情ではなく、法律が変わったときだけが、意見を変える唯一のタイミングだ。

また、
「電話で長く話してしまって申し訳ない」と言われることがある。
しかし、正直に言えば、会って話す方がよほどめんどくさい。

対面相談には、無駄が多い。
・雑談
・空気を読む
・「先生はどう思いますか?」という結論のない質問

電話なら、これらはほぼ消える。
耳と頭だけ使えばいい。
手と目は書類作成に使える。
合理的だ。

だから、電話とメールは無料にしている。
一方、対面相談は有料にしている。
理由は簡単だ。

対面相談は、法律ではなく、「感情」を処理する仕事になるからである。

1万そこらの相談料よりも、私は自分の合理性を優先したい。

そして、相談者の多くは、こう言う。
「専門家に聞いた方が安心ですよね」

確かに、その通りだ。
ただし、ここでひとつだけ現実を言っておく。

資格者=「理解している人」ではない。

資格とは、「試験に合格し、登録しただけの人」という事実にすぎない。
法律を完璧に理解していることを保証するものではない。
むしろ、資格を取った瞬間に勉強をやめる人の方が多い。
これは、どの業界でも同じだ。

相談者から、よく聞く言葉がある。
「前に相談した先生の説明が、よく分からなくて」
珍しい話ではない。

理由は簡単だ。
多くの資格者は、理解しているのではなく、「暗記」しているだけだからだ。
条文は暗記できる。
判例も暗記できる。
しかし、「なぜそうなるのか」を自分の言葉で説明できる人は少ない。

さらに言えば、自分の資格分野以外の知識を学ぼうとしない。
つまり、資格者の多くは、法律を使っているのではなく、法律に振り回されている。

みなさん気づいてますか?
資格者の世界には、奇妙な文化がある。
分からなくても、分かったように話す。
なぜなら、「分からない」と言うと、プロとしての価値が下がると思っているからだ。

しかし実際は逆だ。
「分からない」を「分からない」と言えない人間ほど、危険な資格者はいない。

私は、分からないことは分からないと言う。
なぜなら、分かったふりをする方が、嘘をつくより遥かにめんどくさいからだ。
よって、税金や不動産の細かい手続きは、その場で税理士や不動産屋に連絡をして聞いてしまう。
知ったかぶりをする時間が無駄だからだ。





最近、同じ相談が続いた。
「親名義の不動産を自分名義に変えたい」
要するに、贈与である。

ここで、ほぼ全員が同じ勘違いをする。
「贈与は110万円まで非課税ですよね?」 知識としては正しい。
だが、理解としてはゼロだ。

親の不動産、110万円以下ですか?
もしそうなら、それは不動産ではなく、ほぼ幻である。
不動産は、そんなに安くない。

住宅取得資金の贈与や相続時精算課税などの制度はある。
うまく活用できる可能性もある。
ただし、制度は「便利な抜け道」ではない。
使えば、必ず相応の義務が発生する。

申告は誰がやるのか。
税務署に説明できるのか。
税理士に頼むなら、その費用は誰が払うのか。

そこまで考えずに、「名義だけ変えたい」と言う人が多い。
はっきり言っておく。

不動産の名義変更において、一番必要なのは「手続」ではない。
「覚悟」だ。

覚悟とは何か。 金を払えるか、ということだ。
そして、「名義を変える」という行為にまつわる、すべての副作用を理解しているか、ということだ。

名義が変われば、
税務署が動く。
自治体が動く。
固定資産税の納付書が届く。

将来売却するときも、自分が死んだときの相続関係も、すべて書き換わる。
その後始末にかかるコストと労力まで含めて、自分の人生に引き受ける準備ができているか。

「安く済ませる方法」ばかり探し、後始末の想像力が欠如しているうちは、資産は守れない。
コストを払ってでも、将来のリスクを確実に摘み取る。
その覚悟がないなら、不動産なんて最初から動かさない方がいい。



最後に、
私は、優しい司法書士ではない。
めんどくさいことを嫌う司法書士である。

そして、めんどくささを排除した結果、たまたま嘘をつかなくなっただけだ。
それだけの話である。

勘違いしないでほしい。

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投稿者 貴田和仁

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